
スマホやPCでパスキーを削除したら、そのサービスにもう入れないのでしょうか。答えは一律ではありません。削除した場所と、ほかに使えるログイン・復旧手段があるかで結果が変わります。操作前に「何を消すのか」を分けて考えることが大切です。
パスキーは「画面ロック」「鍵」「サービス登録」の三つに分けて考える
パスキーは、サービスごとに公開鍵と秘密鍵の組を使ってログインする仕組みです。サービス側には公開鍵などの登録情報が置かれ、利用者側の秘密鍵は端末、または対応する認証情報の保管・同期基盤で扱われます。
ログイン時には、指紋や顔、PIN、パスコードなどの端末の画面ロックで、その鍵を使おうとしている本人を確認します。このため、画面ロック、端末内のパスキー、サービスに登録したパスキーが一つの設定のように見えがちです。しかし、役割は別です。
画面ロックを変更しても、通常はサービス側のパスキー登録そのものが自動で消えるわけではありません。同様に、端末からパスキーを削除しても、サービス側の登録記録まで直ちに削除されるとは限りません。反対に、サービスのアカウント設定でパスキーを削除した場合は、その登録を使ったログインはできなくなります。
端末から消しただけでも、ログインできなくなる場合がある
サービス側に登録情報が残っていても、対応する秘密鍵を利用できなければ、そのパスキーではログインできません。端末だけに保存され、同期されていないパスキーなら、端末の故障、紛失、初期化、削除によって利用できなくなることがあります。
このとき、パスワード、別端末のパスキー、認証アプリ、復旧コード、サービスが用意する本人確認など、別の経路が使えればログインを回復できる可能性があります。ただし、使える選択肢はサービスごとに異なります。パスキーだけを唯一のログイン手段として登録していた場合、端末から鍵を失うと、自分でも入れなくなるおそれがあります。
同期されていても「新端末で必ず使える」とは限らない
対応する保管・同期基盤を使うパスキーは、同じアカウントで新端末に利用できる場合があります。ただし、同期の対象や設定、削除がほかの端末へ反映される範囲、OSやブラウザ間で使える保管先は一様ではありません。
たとえば、同期を無効にしていた、同期に使うアカウントへ入れない、削除操作が同期先にも反映された、会社の管理端末で同期が制限されている、といった場合には、新端末でパスキーが見つからないことがあります。古いスマホから新しいスマホへ移っただけで、古い端末のパスキーが必ず使えなくなるわけでもありません。
「同期されているはず」と判断せず、新端末で実際に対象サービスのログイン画面を開き、パスキーでログインできることを確かめてから古い端末を消去するのが安全です。
削除前は四つの場所を順に確認する
まず、対象サービスの「パスキー」「ログイン方法」「セキュリティ」「復旧」などの画面を確認します。登録済みパスキーの一覧、名前、作成または利用した端末の表示、削除の対象を見ます。ここで削除するのはサービス側の登録なのか、端末の認証情報なのかを区別します。
次に、端末やブラウザ、認証情報の保管・同期基盤で、そのパスキーがどこに保存されているかを確認します。端末のみなのか、別端末でも利用できる状態なのかは、実際に別端末で確かめるまで断定しないほうがよいでしょう。
三つ目は代替のログイン経路です。長く管理できるメールアドレス、別端末で使えるパスキー、設定済みの認証手段、サービスが案内する復旧コードなどを確認します。復旧コードがある場合は、端末だけに置かず、他人に見られない安全な場所に保管します。電話番号やメールアドレスも、登録しているだけで必ず復旧に使えるとは限らないため、サービスの案内を確認します。
最後に、ログイン中の端末やセッションも確認します。サービスによっては、パスキーを削除した後も、すでにログイン済みの状態が残ることがあります。紛失・盗難や共有解消が削除の理由なら、端末側だけでなく、サービス側で該当パスキーや不要なログイン中セッションを無効化できるか確認します。
機種変更・売却・返却では、消去より先にログイン確認をする
機種変更では、新端末で必要なサービスへログインできることを確認してから、古い端末の初期化やパスキー削除に進みます。特に、メール、金融、仕事で使うサービスなど、ほかのアカウントの復旧にも関わるものから確認すると整理しやすくなります。
共有端末、家族の端末、会社支給端末に作成したパスキーは、端末の返却、管理者の変更、利用者の交代によって使えなくなる場合があります。不要になった端末を譲渡、売却、返却する際は、画面ロック、アカウントからのサインアウト、初期化の手順を確認し、必要に応じてサービス側の登録済みパスキーも整理します。
画面に表示される削除対象や同期の意味が不明なときは、先に削除しないことが有効です。当該サービス、OS、ブラウザ、保管・同期提供元の公式案内で、端末だけから消す操作なのか、同期先やサービス登録にも影響する操作なのかを確認してから進めましょう。