
「Googleでログイン」「Appleでサインイン」を選べば、サービスごとにパスワードを作らずに済みます。では、GoogleアカウントやApple Accountに入れなくなった場合、連携したSNSや通販サイトにも入れなくなるのでしょうか。結論から言うと、連携ログインは有力な選択肢ですが、入口になる「親アカウント」と連携先の両方を確認して使うことが大切です。
連携ログインは、パスワードを渡す仕組みではない
GoogleやAppleなどを使う連携ログインは、一般にソーシャルログインやID連携ログインと呼ばれます。利用するサービスが親アカウントのパスワードを預かる代わりに、認証事業者が「この利用者はログイン済みである」と確認を伝える仕組みです。
通常、この仕組みでサービス側へ親アカウントのパスワードそのものが渡るわけではありません。そのため、サービスごとに短いパスワードを作ったり、同じパスワードを使い回したりする状況を減らしやすくなります。
一方で、ログインの起点が親アカウントに集まります。これは連携ログインだけの欠陥ではなく、便利な集約には影響範囲の集約も伴う、という性質です。親アカウントにログインできないと、連携先へのログインが難しくなる場合があります。
「親アカウントだけ守ればよい」わけではない
信頼できる認証事業者の連携ログインは、使い回したパスワードを各サービスに設定するより、安全性を高めやすい方法です。ただし、「Google・Appleでログインを選べば自動的に安全」という意味ではありません。
親アカウントには、他のサービスで使っていない固有の強い認証を設定します。多要素認証、つまりパスワードに加えて端末の確認や認証アプリなどでも本人確認を行う方法が利用できるなら、有効化を検討します。復旧用メールアドレスや電話番号が今も使えるものか、ログイン通知を受け取れるか、利用中の端末に見覚えがあるかも確認します。
ただし、親アカウントを守るだけでは十分とは限りません。通販サイトには配送先や決済情報、SNSには公開範囲、別のサービスには個別の復旧窓口があるためです。連携先の設定も、それぞれ確認する必要があります。
入れなくなったときの影響は、サービスごとに違う
親アカウントを失えば、連携先のアカウントも必ず永久に失う、とは言えません。連携先でメールアドレスとパスワードを追加できる場合もあれば、別の復旧方法を案内している場合もあります。反対に、連携ログイン以外の入口が用意されていない場合もあります。
また、親アカウント側の連携一覧から接続を解除しても、連携先に残るアカウント、購入履歴、保存データが自動的に消えるとは限りません。解除前には対象サービスへ入り、別のログイン方法を設定できるか、継続課金がないか、データにどのような影響があり得るかを確認します。
連携一覧に名前がないから完全に無関係、とも限りません。過去の登録方法、サービス側での設定変更、表示される連携の種類によって見え方は異なります。大切なのは、重要なサービスに自分がどの方法で入っているかを、サービス側でも確かめることです。
仕事用・学校用の親アカウントには注意する
仕事用や学校用のGoogleアカウントなどは、組織の管理や在籍状況によって使えなくなる可能性があります。私用の通販、保険、主要なメールなどを、そのアカウントだけでログインする状態にしておくと、環境が変わったときに困ることがあります。
Appleの「メールを非公開」を使って登録したサービスでは、実際のメールアドレスではなく、匿名転送用のアドレスが登録されていることがあります。メールアドレスやログイン方法を変える際は、連携先に登録されている連絡先と受信状況を先に確認すると安心です。
今日できる棚卸しは、入口と代替手段を書き出すこと
まず、普段使う親アカウントで、多要素認証と復旧用メールアドレス・電話番号を確認します。復旧コードが提供されている場合は、端末内だけに置かず、自分が必要なときに取り出せる安全な場所に保管します。
次に、親アカウントの設定画面で、第三者サービスへのアクセスや連携ログインの一覧を見ます。名前を見ても利用目的を説明できないもの、もう使っていないものを候補にします。ただし、すぐ解除するのではなく、先にそのサービスへログインして別の入口と復旧先を確認します。
最後に、金融、行政、医療、携帯電話、主要メール、重要な通販などを紙や安全なメモに一覧化します。「どの親アカウントで入るか」「別のログインまたは復旧手段があるか」を一行ずつ記録します。見覚えのない連携、認証通知、復旧情報の変更通知が届いたときは、通知内のリンクではなく、親アカウントと該当サービスの公式画面から状況を確認しましょう。