本文へ移動
デジタル情報マネージャーDigital Information Manager
KNOW THE DIGITAL

知ってるようで知らないデジタル

パスキーを使うと、スマホをなくしたらログインできない?──端末内・同期・復旧で見る「鍵」のありか

スマホにパスキーを登録すると、紛失や故障、機種変更の際にログインできなくなるのでしょうか。答えは一律ではありません。鍵を使う端末、端末間での同期、利用するサービスの復旧方法の三つによって、できることが変わります。

パスキーの「鍵」は一か所にあるとは限らない

パスワードは、利用者が覚えた文字列をサービスに入力し、サービス側が照合する方式として広まりました。これに対してパスキーは、サービスごとに公開鍵と秘密鍵の組を使う認証方法です。サービス側が登録して照合に使うのは公開鍵で、秘密鍵そのものをログイン先へ渡す仕組みではありません。

ログイン時には、端末の画面ロック、指紋や顔による確認などを使って、秘密鍵の使用を承認します。通常、指紋や顔の情報が各サービスへ送られて照合されるわけではなく、端末上で「この鍵を使ってよい」と確認する役割です。

この仕組みは、パスワードの使い回しや、偽サイトにパスワードを入力してしまう問題を減らし得ます。ただし、パスキーは「スマホ一台の中だけに必ずある鍵」ではありません。利用環境によって、鍵を使える場所が異なります。

四つの場面で、紛失後の見通しは変わる

スマホ一台だけで使っている場合は、その端末にしか使えるパスキーがなく、ほかのログイン方法もなければ、端末を失った直後に自分でログインできないことがあります。サービスが用意する本人確認を伴う復旧手続きが必要になる場合もあります。

同じOSアカウントの複数端末で使っている場合は、対応する同期機能により、同じOSアカウントで利用する別の対応端末からパスキーを使えることがあります。ただし、同期の設定、OSアカウントへ再ログインする方法、端末やサービスの対応状況によって結果は異なります。

セキュリティキーで使っている場合は、物理的なキーに作成したパスキーを使います。この場合、そのキーを持っていなければ別の端末から自動的に使えるとは限りません。重要なアカウントに一つだけのキーを登録する際は、代替手段を確認しておく必要があります。

会社や学校の管理端末の場合は、組織の管理方針で同期が制限されていることがあります。個人の判断で設定を変えず、管理者や組織の定めた手順を確認しましょう。

「同期している」だけでは復旧の保証にならない

同期型のパスキーでは、秘密鍵に関するデータが、保護された同期機能を通じて複数端末で利用可能になることがあります。そのため、「パスキーはネットワークを一切経由しない」と言い切るのは正確ではありません。一方で、サービス企業のサーバーに秘密鍵をそのまま預ける、という理解も一般的な説明としては適切ではありません。

また、別端末に鍵が同期されていても、OSアカウントに入れなければ使えないことがあります。OSアカウントの復旧用メールアドレスや電話番号が古い、画面ロック用のPINを忘れた、といった事情も復旧に影響します。古いスマホが盗難時にロック解除された状態だった場合は、端末とOSアカウントの安全確認も急ぎます。

機種変更の前に、新端末で一度試す

最も確認しやすいのは、旧端末でログインできるうちに新端末を用意することです。重要なサービスについて、新端末でログインできるかを試し、必要であれば新しいパスキーを登録します。サービスによっては複数のパスキーを登録できるため、普段使いのスマホとは別の安全な端末やセキュリティキーを代替経路にできる場合があります。

ただし、パスワード、認証アプリ、回復コード、本人確認による復旧を併用できるかは、サービスごとに異なります。便利だからといって従来のログイン方法を先に消すのではなく、新端末で使えることを確認してから整理する方が判断しやすくなります。

今日確認したい七つの項目

第一に、重要なサービスのアカウント設定で、登録済みのパスキー、ログイン方法、回復用メールアドレス、電話番号を確認します。第二に、パスキーを使っている端末と、同じOSアカウントで利用できる別の対応端末があるかを整理します。

第三に、機種変更前なら新端末でのログインを試します。第四に、複数のパスキーを登録できるサービスでは、単一の端末だけに依存していないかを見直します。第五に、回復コードが提供される場合は、スマホの写真や同じ端末内のメモだけに置かず、安全に保管できる場所を選びます。

第六に、OSアカウントの復旧手段と回復用連絡先を定期的に更新します。第七に、端末をなくしたときは、別端末からOSと各サービスの公式案内を確認します。回線停止、紛失モード、遠隔ロックや消去、ログイン状況と認証手段の見直しが必要になることがあります。遠隔消去は端末が通信できた時点で実行される設計の場合があるため、それだけを頼りにしないことも大切です。

パスキーは「鍵の経路」まで管理して使う

パスキーは偽サイトへのパスワード入力を減らす認証手段として役立ちますが、利用不能を避けるには復旧経路も必要です。弱い復旧手段を増やし過ぎると認証全体の弱点になり得る一方、代替経路がまったくなければ端末の紛失や故障で困ります。自分の重要アカウントごとに、鍵が使える端末、OSアカウントへの入口、サービスの復旧方法を分けて把握しておきましょう。画面名や利用可否は変わることがあるため、実際の設定は各サービスとOSの公式案内で確認してください。